酒井です。明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さてさて、『カウンセラー』の時にも上映していただいた神戸映画資料館で、2/7(金)~11(火・祝)までこれまでの3作を上映していただくことになりました。本当に有難い事です。
3作というのは僕なりに紹介しますと、
『カウンセラー』怪奇心理スリラー
『コロナvs信心』ナンセンス珍コメディ
『フィクショナル』フィルムノワール(もどき?)
の三本です。度々インタビューをして頂いている吉野大地さん(神戸映画資料館の『ウェブスペシャル』というところに『カウンセラー』『フィクショナル』で、有難いことにとても詳細にそれぞれしていただきました)が下に書いたリンクで惹句を書いて下さり、「本特集ではパンデミック以降の感染・拡散社会を背景にした酒井流の「奇譚」」というのを見て、なるほど、確かにそういった共通点がこれらにはあるなと膝を打ちました。
たまに人前で話すときなどには、度々映画の「有用性」(誰かのため、社会のため、メッセージ性といった)を否定したいと、捻くれただけで中身のないことをほざいている訳ですが、ネタにするのは現実であったりするのかもしれません。いつも、新しいシナリオを書く際には、最初は本当に悩みます。いや、実際には情けない事に、書かずにただただ悩む時間が9割5分です。そういう時は、フィクションとは何か、娯楽とはいったい何かを考えたりもするわけですが、大体「そんなのわかりゃせんわい」と匙を投げてからようやく書けるのです。匙を投げるために時間がかかっているという、なんとも不経済かつ怠慢な時間が終わり、撮っていく具体に入ってからは、そこから解放されて「リアクション」していくことで筋道がみえていくような、難しさと同時に爽快な楽しさがあります。しかし、吉野さんの言葉を読むと、なるほど、シナリオも結局『リアクション』しかやってきていないんだな、というのを知った思いです。そう考えてみると、大分楽に次にいけるような、そんな気持ちになりました。
新しいものを生み出そうと気張るのではなく、何かをパクリ、参照し、ネタにし、そして有能なスタッフみんなでディスカッションする。作る側が楽しく実験的に、見る側の事など知ったことか。は、言い過ぎで…まあ、そのようにした先に観客も楽しめるものが結果産まれるはず、産まれたら良いな…、と言いますか…まあ、次もそのように呑気に気負わずやっていけたら良いなと思っています。
酒井善三
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