NHKドラマ『3000万』第一回、やられた/酒井善三

あまりに遅くなってしまったし、今バタバタしていて今度またきちっと書きたいが、もしこのブログを見ているモノ好きがいたとして、まだ見ていなかったら、NHKの見逃し配信で『3000万』の第一回を是非見てほしいです。こんなのは僕には書けない、傑作。

細かくは今書けないが、キャラクターをジャンルを成り立たせるための単なる乗り物にせず、きちっと離れて見た生き血の通った「曖昧な」人間に設定していて、しかもそれこそが独特のノリを作っている。(これこそがこの作品の面白味だと思う)こんなことなかなかできない。いばらの道だ。もっと楽に、「展開のための設定」に逃げるだろう。しかし、曖昧な人間への冷ややかかつ共感的な視線をもって、そこに展開を周りからしかける。周りからのアクションにリアクションしていた彼らがついに…。という一見だらっとしかねないリスク。しかもそれが「成り立っている」どころか、めちゃくちゃに面白い。

弥重早希子という脚本家は、個性的であり、むしろ大衆娯楽的なのって本当に相性が良いのだろうかと少し斜に構えていたのだが、引っ叩かれた気分だ…
弥重の、登場人物への、ある種共感的に、その分冷たくもある、距離をもった、心ある皮肉屋としてのユーモアと、サスペンスというジャンルがぶつかり、その最もうまい塩梅、落としどころにある個性的な話だった。

恐らく、曲げた方が楽なところで曲げなかったのだろう。本当に素晴らしい。
ちょっと細かくはまた書くけれども。
まだまだドラマは続くので、最後まで楽しみだ。

3000万
【NHK土曜ドラマ公式】2022年、NHKで新たに立ち上げた “脚本開発チーム”WDRプロジェクトから生まれた土曜ドラマ「3000万」。 ほんの少しだけ幸せな生活を求めただけなのに、気づけば泥沼にハマっていく… その先にあるのは天国への階段...

酒井善三

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